木育講座箸づくり

単純そうに見えますが、実は絶妙なバランスの上に成り立っている箸づくり。2本の棒があれば箸としては成立しますが、それを使いやすい箸にするとなると、一朝一夕でできあがるというものではありません。時間をかける必要もある、ということになります。
子どもたちには箸に愛着をもってもらいたいという願いを込めた講座です。

所要時間
30分から5時間程度(箸の完成度にもよるし、個人差があります)
対象年齢
5歳以上

もくひょう:

箸づくりを通して生活を学ぶ

1.作りたい箸をイメージする

作りたい箸をイメージしましょう。イメージをもつことで「削る」という単純な作業に意味が出てきます。

子どもの力で四角から削っていくのは大変ですので、ある程度成形してある箸を使用するとよいでしょう。

わたしたちは、20種類近い材種を準備していますが、最も使用する頻度が高いのは「ミズメザクラ」です。サクラに似た木肌を持っているためこの名が付いていますが、実はカバの仲間です。カバは固いのに弾力がある加工性が高い素材です。

POINT! 箸を観察してみよう……

作る前に、自分が普段使っている箸をよく見てみましょう。先端に行くほど細くなっていて、先端の3センチの食い先は2本がピッタリ合うように作られています。
箸にもいろいろ種類があります。細い箸、太い箸、四角い箸、丸い箸……。自分が作りたい箸のカタチに近いものを観察してみましょう。
箸づくりは時間がかかり、精緻な作業が必要なものなので、納得がいくものを作ろうとすると、大人でも5時間ほどかかります。
まずは片方だけを削ってその変化を観察したり、自由時間に少しずつ削る作業をしたりと、子どもの集中力を完成の目安としてもよいでしょう。

2.やすりがけをする(120番)

箸の材料を120番の紙やすりで削ります。やすりは番号が小さくなるほど目が粗くなり、大きいものほど目が細かくなります。120番のやすりでまずはどんどん削ります。ここまででイメージするカタチを作ります。

この後にかける220番と400番のやすりは、主に表面をなめらかにするためのもので、カタチを作ることはできません。

3.やすりがけをする(220番)

次は220番のやすりで表面をなめらかにしていきます。ざらざらが少し減ったかな、と思うくらいで十分です。

4.水引きをする

「水引き」は、箸の表面をより滑らかにする大事な作業です。濡らして固く絞った端切れを箸の上にスーッと当てます。表面の色が変わるくらい、ほんのり湿らす程度に。そして、5分ほどおいて乾かしましょう。

乾いた表面を触ってみると、木の表面の細かな繊維が逆立って、ざらざらしているのがわかると思います。このざらざらを取るイメージで、仕上げに400番のやすりで削ってください。ほんの少しで十分です。これで、成形は完了です。

POINT! 箸の語源……

箸の「はし」という発音には、物事の橋渡しをするという意味が込められています。食事は人が生きるために必要なもの、食事は天にいる神様から与えられるもの。人間と神様の橋渡しをする道具だととらえられ、「箸(はし)」という名前が付けられたと考えられています。
そのためか、箸の上の部分は「天」と呼びます。箸を自分で作って使うことで、箸の意味や食生活の根源に思いを馳せてみてはいかがでしょうか?

5.オイルを塗る

木にオイルをしみこませることで木の隙間を埋め、耐水性や強度が上がります。箸は口に入るものなので、食用オイルで塗装するとよいでしょう。

わたしたちの講座では、アレルギーの確率が比較的低く、半乾性である米油を使っています。

オイル塗装のやり方は水引きと同じで、布にオイルを付け、周囲との色ムラに気をつけながら薄く伸ばし、木目に沿ってオイルをまんべんなく塗ります。10分ほどしたら、綺麗な布で、塗ったオイルをしっかり拭き取って、これで箸の完成です。

一見単純そうに見えますが、実は絶妙なバランスの上に成り立っている箸づくり。2本の棒があれば箸としては成立しますが、それを使いやすい箸にするとなると、一朝一夕でできあがるというものではあり……

完成!

注意点

食洗器の使用はできません。また、水につけておくとカビの原因になりますから、使い終わったらすぐに洗剤で洗って拭いてください。オイルは使っているうちに落ちていきます。半年に一回ほど、メンテナンスとしてオイル塗装をするとよいでしょう。また少しのカビやささくれなどは、紙やすりで削ってしまえば簡単にきれいにできます。

丹精込めて作った箸を使うことで、子どもたちの箸の持ち方に対する意識を高めることもできるかもしれません。また、作った箸の管理はお子さんに任せてみましょう。「食事の前に準備して、使い終わったら洗ってしまう」という、暮らしの大切な一端に参加してもらえればと思います。

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