木育講座丸太切り

さあ、丸太切りの講座をはじめましょう! 「きこりさん」がスペシャルゲストとしてやってきます。
わたしたちの丸太切りは、前の日に山から切り出してきたばかりの丸太を使用します。乾燥していない新鮮な丸太は、瑞々しくいい香りがします。山ではどんな風に生えていたのだろう? 子どもたちと一緒に想像してみましょう。
丸太を山から切り出してくるのは、プロの林業者。物語にもよく登場する「きこり」ですが、童話の中だけの存在ではなく、実在します。
木でできているものは、かつては「山で生きる樹」であったこと、そしてそれを切る「きこりさん」たちの力で手元に届いていること……。子どもたちに伝えましょう。

対象年齢
6歳以上(皮むき工程は5歳より)

もくひょう:

丸太切りを通して樹を学ぶ。命を考える。林業について知る。

1.丸太を観察。森の絵を描いて発表する

丸太は、山から伐り出してきたばかりのヒノキを使用します(※協力「大山材木店」「東京チェーンソーズ」)。このとき使用するのはスギやヒノキ材が多いですが、園庭に生えているケヤキやクスノキを使用することもあります。

断面はしっとりと濡れていて、伐ったばかりであることがわかります。

この瑞々しい丸太を、作業台にセットし、まずは樹のお勉強から。

あらかじめ時間が取れる幼・保育園さんには、子どもたちに木をイメージする絵を描いてもらい、ここで発表してもらいます。実際に丸太を切った後、イメージがどう変わるのか目に見えるカタチに残すためです。また、目の前にある丸太のことを知るため、そこに生えていた葉っぱや枝、また切る前の写真を子どもたちに見せます。

2.丸太の皮むき

皮をむくと、中から水がじゅわっとあふれ出し、ヒノキのいい香りが広がります。

むき出しになった中身は白くてつるつるで、触り心地がよいのです。皮むきは、のこぎりやチェーンソーなどで材に刃を入れたときに、刃物が皮にひっかからないようにする大切な作業。実際の製材所でも行われています。

POINT! 年中さんにワクワクを……

丸太切りの作業は年長さんがメインですが、皮むきは年中さんからできます。皮むきをした子どもたちは、皮をベルトにしたり、しっぽに見立てたりと、どんどん遊びを発展させていきます。
皮むきを経験した年中さんは「来年は自分たちものこぎりを引けるんだ」というあこがれの気持ちが生まれるようです。
自身の成長を楽しみにできるように、継続して講座を受けていただくのがおすすめです。

3.木のしごとを知ろう

「きこり」は普段どんなしごとしているのでしょうか? 子どもたちの前で、丸太をチェーンソーでスライスしてもらいます。うなりを上げるチェーンソーの音に、子どもたちの目はまんまるです。また、スライスする過程で発生した木くずをバケツに入れて、みんなで触ります。木くずはごわごわしていて、チェーンソーの摩擦による熱で、ちょっと焦げ臭いです。

この木くずと、手引きののこぎりで削ったものとを比べてみます。

4.きこりの道具を知ろう

現代の「きこり」はチェーンソーを使いますが、機械がなかった時代には何を使っていたのでしょうか? 古い道具を実際に使ってみます。のこぎりとは、まったく姿が違います。

先端に行くほど太くなる、長さ50センチはあるかと思われる巨大な片手鋸(かたてのこ)、もっと巨大で1メートルは超える長さの両手挽き鋸(りょうてびきのこ)。見たこともない大きな刃物の作業を、子どもたちは興味をもって見守ります。

5.丸太切り体験!

子どもたちには、両手引き鋸を2人1組で使ってもらいます。大きなのこぎりなので一見恐ろしげですが、重さもあり簡単には動かせませんし、触れるだけで指が切れるようなものではありません。大人が見守れば、安全に使うことができます。

ここが年長さんの見せ場となります。相手の目を見て、呼吸を合わせることでのこを引く2人の息が合ってきます。「相手が押したいのか引きたいのかが、わかるようになる」と言った子もいました。

子どもたちの道具を使う上達スピードには、毎回驚かされます。

よくできました!

全員が切り終わったら、最後は自分たちが手引きで引いた木くずを触ります。チェーンソーの時と違い、焦げもなくて、樹の精油の薫り高いにおいがします。また、しっとりしてふわふわ!

※この木くずは、0〜2歳児さんにも触ってもらったり香りをかいでもらうことができます。

でき上がった丸太は、園庭で椅子として利用したり、平均台に変身することも。

樹のこと、道具のこと、林業というしごとのこと。丸太一本で、さまざまな角度から樹のことを知ることができるのが、丸太切り講座の魅力です。

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