園舎や園庭のリニューアルから木育へ 〜さくらしんまち保育園の場合〜

ウッドデッキが古くなった

世田谷区桜新町の住宅街のなかにある「さくらしんまち保育園」。6年ほど前から木育に取り組んでいます。園長の小嶋泰輔さん、保育士の小松真吾先生に、お話を聞きました。

小嶋園長 きっかけは、Tree to GreenさんからのFAXでした。「園庭や園舎の改修を木で行う」と書いてありました。古くなった園舎や家具を、助成金を使って木化するというメリットに惹かれましたね。

※助成金……東京都による「保育園等による木育活動の支援事業」

お話を聞いた小嶋園長。

小嶋園長 2015年に、園内5か所のウッドデッキを改修しました。最初は理念めいたものはなかったんです。ただ、職員も反応してくれまして、翌年には丸太切りの木育講座をやりました。

現場で木育を積極的に取り入れている小松真吾先生も、子どもたちの様子を語ります。

小松先生 イトウさん(弊社スタッフ)には、継続してくださいってお願いしているんですよ。丸太切りを園の伝統にしたくって。年長さんがバカでかいノコギリを使って大きな丸太を切るのを、4歳、3歳児さんたちは見ている。「自分も大きくなったらあれができるぞ!」ってなるんですよね。
そばで見ている分、年々上手になってます。集中してずーっと丸太を切っている子もいますよ。

小松真吾先生。「保育ナチュラリスト」の資格も取得。

備蓄倉庫と屋上庭園「お木場(もくば)」の新設

2017年には、防災の観点から有事の際に3日間の食料など防災グッズを備蓄できる倉庫を木で新設。2018年には、屋上庭園にウッドチッププールを保護者とともに新設しました。いずれも、東京都の助成事業を利用しています。

さくらしんまち保育園の屋上庭園の「お木場(もくば)」。

小嶋園長 弊園ではお砂場ならぬ、「お木場(もくば)」と呼んでいます。ウッドチップは、ささくれが指に刺さることもほとんどないですし、1袋(45リットル)2000円と定期的に追加することを考えても安価だと思います。木に含まれる殺菌作用もあります。砂場の砂を衛生的に保つには苦心しますが、木はつきあいが楽です。
何よりも子どもたちが想像の何倍も上をいく、見事な遊びこなしを見せてくれました。

小松先生 見立て遊びもすごいんですよ。木の破片が「鮭の切り身」になったり、ウッドチップをお椀によそって「ごはん」になったり。破片を並べてお店屋さんごっこもしています。
お木場は、お父さんたちと一緒に造れたのがよかったですね。保護者を招待して、ワークショップにしたんです。大きな丸太から、ウッドチップを敷き詰めるところの縁の材を切り出して。ノコギリってなると、お父さんたちの出番なんですよね。子どもたちはそういう姿を見てますからね。

子どもたちが見立て遊びをするウッドチップ。
木育講座で切った丸太を遊具に。

小嶋園長 ここ最近は、保育業界でも「SDGs」が謳われるようになってきました。間伐材の端材がウッドチップとなって、子どもたちの元に来ている。そんなことも木育講座のなかで、だんだん子どもたちに伝わるといいなと思いますね。

※SDGs……Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)の略称。エス・ディー・ジーズ。2015年の国連サミットで採択されたもので、17の大きな目標と、それらを達成するための具体的な169のターゲットで構成されている。

下駄箱と送り迎えスペースのリニューアル

さくらしんまち保育園の木育の取り組みは続き、2019年には下駄箱を新たに製作しました。

小嶋園長 子どもたちが生活の中で最も多く触れるものは、ロッカーと下駄箱なんですよ。集団生活の中の自分だけのテリトリーになります。その部分を木化したかったんです。
下駄箱に使用するネームプレートは、お家で名前を書いてきてもらったんですが、そのひと手間があることで会話も生まれるし、先生と保護者の関係もさらに深いものになったような気がします。

ネームプレートは、50種類もの木を用意し、クラスごとに変化を出した。

翌年(2020年)に取り組んだのは、送り迎えスペースの新設。

小嶋園長 コロナ禍で、保育園の送り迎えの風景も一変しました。いまは、保護者が子どもたちの過ごすお部屋の中まで入れない。そこで、園とお部屋の間をつなぐ空間を木化しました。木の浄化作用で、すこしでもリラックスしてほしいですね。

小松先生 園からのお知らせを貼っておくインフォメーションボードとくっつけるマグネットも木です。子どもたちの絵や制作物を飾れる棚もつくってもらいました。掃除や給食なんかのお当番表もあるんですよ。
いま一番新しい空間なんですが、「前からあった?」っていうくらい馴染んでいます。それも木のすごさかもしれませんね。

送り迎えの空間。奥に子どもたちの部屋がある。
当番表も木製。

小嶋園長 すべては、困りごとが発端となっているんです。ウッドデッキや下駄箱の老朽化、防災設備の要望の高まり、コロナで保護者がお部屋に入れない……。それをTree to Greenさんに相談し、木育という手段で提案・解決してもらっているんです。
木育は職員も取り組むので、職員からのアイデアも出やすいです。積極的にメンテナンスや掃除をしている姿も見られますし。
これまでの木育の実践については見学も可能です。トライする価値はあると思いますよ。

〈さくらしんまち保育園の木育事例〉
2015年 園内5か所のウッドデッキの敷き直し
2016年 木育WS丸太切り
2017年 備蓄倉庫を新設
2018年 屋上園庭を「お木場」にリニューアル
2019年 下駄箱をリニューアル
2020年 園とお部屋の間の空間をリニューアル

これらの事例はすべて、以下の助成制度を利用しています。Tree to Greenでは、制度利用についてのアドバイスも行っています。
▼東京都による「保育園等による木育活動の支援事業」

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